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2009/03/02

クロムフリーとは(RoHs指令)


画像は下記URLより引用しました。URLの原文全体をお読みください。
http://www.toyokoka.com/column/column.htm
RoHs指令によって6価クロムの利用が禁止され3価クロームへの転換がなされていることはご承知と思います。この変換に伴ってクロムフリーという言葉が利用されるようになったが、6価クロムに関する言葉であり、クローム自体をゼロにするのではなく、3価クロームへの転換も含めています。画像の文意はステンレス鋼などに含まれるクロームは元々3価クロームでありクロムフリーの範疇に含まれるということです。

追記:当方の誤解もあって、しかも、重要な事項であり、上記URLの全文を下記に掲載します。

~ columnist's column ~ vol.3

 クロムめっき業界が「クロムフリー」という言葉によって苦しめられている。
EU域内での6価クロメート品使用規制が、不勉強なマスコミにより再三に渡って曲げて伝えられ、 間違った情報として一人歩きし始めており、産業界全般に定着してしまいそうな勢いである。
これを憂う『日本硬質クロム工業会』ではカウンターコメントを発表し、マスコミや発注筋への、適切な認識の保持を呼びかけている。
弊社としても、関連分野の正確な情報を読者の皆様に保持していただきたく、日本硬質クロム工業会誌からの記事を下に転用した。

是非ともご一読いただきたい。

  環境問題とクロムめっき「誤解に苦しむクロムめっき」
1.はじめに
 環境が企業活動のキーワードになるにつれて、思わぬ誤解に基づく被害が出ることがある。
クロムめっきはその誤解に悩まされている一例であろう。

この原因は6価クロム問題にある。6価クロムは人体に有害な環境規制物質なので、このものを含むクロメート処理の使用中止を欧州連合(EU)で10年程前に決め、 今年から多くの自動車会社で順次実行に移される予定になっている。

 これは自動車の廃車・解体時に部品に付いている微量の6価クロムが環境を汚染する恐れがあるために取られた処置である。

このクロメート処理は亜鉛めっきの後処理やアルミニウムの防錆処理として広く用いられているため、波紋は他の業界にも広がり、 電気・電子業界でも近い将来の使用中止を決めている。

 このようなニュースがマスコミに頻繁に登場してから、クロムめっきや金属クロムも毒性有し、環境規制物質であると勘違いする人も出ており、 いずれはクロムめっきも使用中止に至るものと誤解する人達が増加している。

このため、グリーン調達の名のもとにクロムめっきの代替技術への移行を真剣に検討する企業も現れるようになった。

2.クロムめっき皮膜と6価クロメート皮膜の違い
 クロムめっき作業には一部の装飾用3価クロム浴を除き、ほとんど6価クロムめっき浴を用いている。
クロムめっきは6価クロムめっき液中に加工品を陰極にして吊るし、直流の電気を通し、 電気分解により6価クロムを0(ゼロ)価クロム即ち金属クロムとして加工品に皮膜析出させる。
 一方、6価クロメート処理は主として亜鉛めっきされた加工品を6価クロム溶液中に浸漬し、6価クロムを微量含有する化成皮膜を生成させることを云う。

この処理により亜鉛めっきの耐食性が飛躍的に向上するが、表面には6価クロムが僅かながら残留するので、環境問題として提起されたのである。

クロムめっきは生産工場で6価クロムを使用しているが、前述の如く、電気分解を施すことで製品の表面にクロム金属を付着させるものであり、 クロメート皮膜のように製品に微量の6価クロムが付着して工場から出ていくものではない。

 この辺の理解が得られていない所に誤解の原因がある。有害物質を工場で使用する例は、化学工場では当たり前のことであり、 製品を作る為の原料や製造工程などで有害物質を取り扱っていることは社会的に広く認知されている。

当然のことながら、これらの工場では種々の規制を受け、安全管理がなされている。

それでも環境の名のもとに、社会が必要とする物の製造を中止するのは、社会にとって益することは少ないであろう。

要は、工場における有害物質の安全管理や事故防止の徹底であろう。

3.誤解されるクロムフリーとクロムめっき
 6価クロムを含まないクロメート皮膜を6価クロムフリークロメートと称していたが、何時の間にか短縮され、クロムフリーと呼ばれるようになった。

ここから誤解が始まったのである。クロムフリーが、クロムを全く用いない意味と誤解され、クロムめっきも環境対策のターゲットにされたのである。

確かにクロムめっきには6価クロムを含むめっき液を使うが、クロムめっき皮膜は金属クロムであり、6価クロムではないことに注意していただきたい。

  4.金属クロム(クロムめっき)の安定性
 金属クロムは表面に極く薄い緻密な不動態皮膜を形成する性質があるため、大気中で安定であり、錆びずに、何時までも金属光沢を維持する貴重な金属である。

この性質を利用して、金属クロムを鉄に13%以上添加すると、この、クロムの錆びない性質が相乗的に加わり、錆びない鉄、すなわちステンレス鋼が出来る。

このステンレス鋼は耐食性に優れ、錆に強いので、種々の台所用品や建築物、レストランの厨房設備、食品工場、化学工場、原子力発電所などで大量に使われている。

ステンレス鋼やクロムめっきが腐食して6価クロムが生成するのではないかと心配する人がいるが、腐食すると3価クロムとなる。

3価クロムは環境規制物質には含まれておらず、毒性は無い。

 5.グリーン調達とクロムめっき
 環境負荷を低減させる物作りの観点から、クロムめっきの排除を試みる発注企業も出ているようであるが、これは思い過ごしではなかろうか。

 クロムめっき皮膜は金属であり、6価クロムを一切含有していない。製造工場でめっき浴として6価クロムを使っているに過ぎないのである。

原子力発電所で有害物質を使うから、そこで作られた電気の使用を中止するような事ではなかろうか。

勿論、有害な6価クロムを使用しないクロムめっき浴の使用が望まれるが、この浴は現在開発が進められているところなので、暫くの猶予が欲しいクロムめっき業界である。

  6.3価クロム浴による硬質クロムめっきの開発計画( Eco Chrom )
 欧州連合(EU)では一昨年より、日本が提案したグローバルな研究開発組織(IMS)の開発プロジェクトとして、3価クロムめっき浴による硬質クロムめっきの研究を実施している。

この新しいクロムめっきの開発プロジェクトでは、10数億円の予算と3年半の期間を予定している。

この計画は一昨年9月にキックオフして、今年で2年を経過しており、その成果を期待したい。

 7.クロムめっき業界の対応
 クロムめっき業界も有害な6価クロム問題には積極的に対応しているが、現在のところ、3価クロムめっき浴による装飾クロムめっきが一部で実用化されているのみで、 硬質クロムめっきの代替技術は開発されていない。

このため、クロムめっき業界では代替可能な技術の開発やクローズド・リサイクルシステムの構築、作業環境の改善に力を注いでいる。

 8.クロムめっきの特徴と用途
 クロムめっきには、0.001mm以下の厚さで用いられる装飾クロムめっきと、0.005~0.1mmの厚さで使われる硬質クロムめっきがあり、それぞれ広く産業界で用いられている。

 装飾クロムは美しい金属光沢を有し、コストが安く、大気中で錆びたり変色しないのが特徴で、工業製品の寿命や商品価値を高めるために広く使われている。

 一方、硬質クロムめっきは、硬くて摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れているために各種機械部品の摺動部や自動車のシリンダー、ピストンリング、ショックアブソーバー等に使われている。

また、型離れ性や耐久性に優れているので、種々の金型に広く用いられ、圧延や製紙、印刷、フィルム製造等の各種ロール類にも多用されている。

 このように広い産業分野で利用されるのは、硬質クロムめっきされた部品や金型、ロールなどの寿命が大幅に伸びることと、品質が安定し、加工費が他の処理法に比べて安価なためである。

【 了 】

上記記事の導入部以外は、『 日本硬質クロム工業会誌 Vol.19,No.3 2005(平成17)年1月25日号 』に掲載されたものの、転載です。

  株式会社東洋硬化 専務取締役 小野賢太郎



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